プログラム概要とカリキュラム・ポリシー

Hitotsubashi ICS DBA has a supportive leaning environment with vigourus interaction with faculty
 

一橋ICSのDBAでは、学術と実践の「架け橋」となる人材を育成します。学生は実務経験から得た知見を、本プログラムで学ぶ経営理論や概念、方法論と結び付け、経営学の最先端における独創的な研究を行います。

DBA論文とは、理論的に整合性のとれた仮説を、社会科学的な方法論によって収集・分析されたデータを使って検証するものです。客観的な証拠で検討するという点において、裏付けのない推測や主観に基づく意見を述べていることが多い経営書とは本質的に異なります。そのため、DBA論文においては、仮設構築の理論的整合性や実務的応用可能性に加え、仮設検証の厳密性が問われます。

学生の主体性を尊重

一橋ICSのDBAでは、学生一人一人の主体性を尊重しています。学生は、教員の指導の下、研究プロジェクトを企画・遂行し、博士論文へと発展させ、完成させることが求められます。さらに、博士論文を土台にした学術誌への論文投稿や書籍出版を目指すことが期待されます。

リサーチ・ポジショニングや研究方法論といった必修科目と選択科目を履修しつつ、博士論文プロジェクトを進めていきます。

DBAプログラムは原則としてパートタイムですので、学生はDBA取得に取り組みながら、常勤の仕事を続けることができます。一方、指導教員と相談の上、フルタイムで取り組むことも可能です。学生には、一橋ICSの教員の研究助手(RA)や教員助手(TA)を務めたり、共同研究を行ったりする機会があります。

このように、少数精鋭のDBAプログラムは、博士論文指導を軸とした個別指導スタイルのプログラムです。この点において、豊富な科目と学生のインタラクティブな交流による相乗効果に立脚したMBAプログラムとは質的に異なるものです。

カリキュラム・ポリシー(教育課程・実施の方針)

一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻博士後期課程 DBA プログラム(以下、DBA プログラム)のカリキュラムの目的は、①創造的な研究成果を日本のみならず世界に問うことができる高いコミュニケーション能力を伴う研究能力、②学界において「知の発展」をグローバルに牽引するリーダーシップ、③社会科学の健全な発展に貢献するための高い倫理性に加えて、実務家の問題意識に対する洞察と研究の実務的含意の質に対する高い意識を涵養することにあります。

【1.教育課程編成の考え方】

その目的の達成に向けてDBAプログラムでは、必修・選択授業科目およびゼミ(演習)を通じて、商学・経営学分野における研究成果については古典から最先端のものまで、研究の方法論・分析メソッドについては実験手法や定量モデリング、ケース分析を含む定量・定性分析アプローチを幅広く学ぶことができます。学生は学びの集大成として学位論文を完成させて発表し、学位を取得します。

【2.学修成果の到達目標】

必修科目は1年次から3年次までのもの、1年次から2年次までのもの、1年次だけのものなどから成ります。これらの科目は、論文の理論構築の基本であり、DBAの基礎となります。選択科目には、商学・経営学の学問領域および関連諸分野の方法論を幅広くカバーして堅固な知的基盤を築き、研究能力を着実に高めることができるように、体系的に構成されています。方法論の科目については、方法の論理や手法について学び、それらを理解するところから始まり、それらを使った論文を批評できるようにする、さらには自分で使って論文を書けるようにすることを目指します。特定分野の研究内容(文献)についての科目では、当該分野で蓄積された知識を直近のフロンティアまで学び、それをどう広げていくのか、意義ある方向性について自ら考えられるようにすることを目指します。必修科目、選択科目においては、講義中の議論や課題発表、さらに小論文等によって学修成果を評価します。
演習では、専門分野で高い研究能力を有する教員からきめ細かな研究指導を受けることができます。学生は、演習の指導教員を博士論文審査委員会の委員長として、DBAプログラムの組織的なサポートを受けながら下記の3段階を経て、学位論文の提案・執筆・完成、そして学位取得に進みます。
また、論文完成後は、必修科目のクラスにて論文を発表する機会が与えられます。

  1. 演習指導教員の指導の下、必修科目のクラスにおいて博士論文の研究計画を発表し、担当教員から承認を受ける
  2. 演習指導教員を委員長に他2名の教員を委員とする計3名から成る論文審査委員会の発足について DBA プログラム・ディレクターから承認を受け、博士論文審査委員会による「研究計画の承認審査」(Proposal Defense)を受けて合格する
  3. 研究計画に基づいて論文を完成させ、博士論文審査委員会による口頭試問(Thesis Defense)を受けて合格する

演習科目においては、博士論文作成の進捗を通じて、その学修成果を評価します。

【3 学修成果の評価方法】

以上のような体系的なプログラムを通じた学修の達成度を確認するために、本専攻では、ビジネススクール国際認証に対応した「学びの質保証」(Assurance of Learning)を実現するための調査を、継続的に実施しています。その結果は、各科目の内容およびカリキュラム全体の改善に活用されています。
なお、研究活動上の不正行為を防止するため、以下の対応を行っております。

  • ICS教務から DBA生に、APRIN主催の倫理教育プログラムの受講を要請。
  • 上記プログラムの受講説明、確認を、オリエンテーションもしくは授業(Research Positioning)でも行う。
  • 学位論文校閲の際、必ず剰窃チェックを行う(英文校閲発注の際に付加)。